2012年1月5日木曜日

ジアルジア症


 ジアルジア症は、原虫であるジアルジアが消化管内に寄生することにより発症し、犬や猫をはじめ多くの哺乳類、鳥類、そしてヒトにも感染します。急性ないし慢性の下痢を示す疾患で、糞便と共に体外にシストまたはトロフォゾイト(写真左矢印)というものが排出され、何らかの過程で経口的に感染が成立します。感染しているにもかかわらず無症状の場合も多くあります。ペットショップやブリーダーの仔犬におけるジアルジアの感染率は高い(60%)と報告されています。更に犬からヒトへの感染も危惧され、公衆衛生上重要な寄生虫感染症(平成11年から施行された感染症法において5類感染症に位置づけられています)となっています。
 ジアルジアは一般的に行われている糞便検査での検出率は悪く、希にみられる程度でした。昨年秋に検査キット(写真右:陽性結果、左写真と別症例)が発売され、簡単に検査が可能となりました。発売以来、この高い感染率の報告があり、かつ人畜共通感染症の可能性が示唆されているため、来院した仔犬の糞便検査に対してルーチンにジアルジアの検査を行いはじめて、あらためてこの高い感染率に驚かされます。