2013年7月4日木曜日

猫の上腕骨顆上粉砕骨折


 猫の骨折は結構派手に骨折しているケースを多く経験します。今回の顆上骨折の症例も粉砕していました。
 ピンを1本入れてアライメントを整えて仮固定し、プレートによる固定を計画しましたが、遠位に2本のスクリューを確保することができませんでした。(^_^;)プレート固定をあきらめ、内顆と外顆からそれぞれ逆行性にピンを入れて固定しました。ピンニングだけではとても強度を得られないので、更に補助固定として創外固定(IMEX SK)を併用しました。仮固定に使用したピンをtie-inで創外固定装置と連結しています。
 以前、横浜夜間救急の森先生がセミナーで同部位の骨折にLCPのT字プレートのTの部分を半分カットして固定されているのを拝見しました。なるほどその方法であれば遠位に2穴確保できたかもしれません。勉強させてもらいました。




 さて、ある程度癒合が確認できた時点で、まず創外固定を除去します。これで術後管理もだいぶ楽になりました。







 最終的に髄内ピンも除去し(1本だけ残っています)、退院となりました。今回の猫は外猫ということもあり、術後管理には少々手こずりましたが、紹介医の先生から無事、外を走り回って、木にも登っていると聞いています。ご紹介、ありがとうございます<(_ _)>


2013年7月2日火曜日

猫の脛骨近位の骨折



 1歳前後の猫の脛骨近位骨折の症例をご紹介いただきました。知人に預けている際にカーテンによじ登り、落下して骨折したようです。SYNTHES製のミニT型プレート動物用でギリギリ固定出来そうかな?
 レントゲン写真の側面像を見ると脛骨粗面の剥離骨折も併発しています。







 実際開けてみると脛骨近位の Salter-Harris(ソルターハリス)Ⅱ型(矢印) の成長板骨折と脛骨粗面の剥離骨折( ソルターハリス Ⅰ型)の併発でした。



AO Principles of Fracture Management in the Dog and Catより
 プレート固定はあきらめ、上図のようにクロスピンとテンションバンドワイヤーによる固定を併用する形で整復しました。




 術中写真と手術直後のレントゲン写真です。脛骨近位は内側からピンを2本、外側から1本で固定しました。ピンが遊走しないように、MIZUHO製のピンキャップでとめています。脛骨粗面は定石通りです。術後は特にギブス固定などは行っていません。
















 術後2ヶ月で跛行もなく、レントゲン写真上、順調に癒合しているようなので、クロスピンのみ抜ピンしました。
 貴重な症例をご紹介いただいたA先生、大変勉強になりました。ありがとうございました。