2011年10月17日月曜日

超小型犬の中手骨骨折




 1.6kgのチワワの中手骨の骨折です。右写真は術前。このサイズの中手骨の整復は選択できる整復材料が限られるため大変困難です。SYNTHES製の0.6mmのKワイヤーをギリギリ入れることが出来ました。これより細いピンは 知ってる限り無いのでは?他に選択できる手術法も、このサイズだと思いつきません。体重負荷に重要な第Ⅲ趾とⅣ趾が骨折している場合は、通常観血的に整復します。第Ⅱ趾あるいはⅤ趾のみの骨折であれば(変位が少なければ)、非観血的に外副子やキャスト(共にギブス)で固定することもあります。
 成長期のため、1ヶ月ほどで骨癒合が期待できます。ピンニングのみでは1.6kgとはいえ(体重にかかわらず)、とても体重を支えきれませんので必ずギブスを併用します。

 第Ⅲ趾とⅣ趾( ヒトでいう中指と薬指)を必ずギブスの先から出しておきます。左写真は別症例のキャスト。指先まで全て覆ってしまうようなギブスで長期に維持するのは避けるべきです。1週間毎にギブス交換を行います(通常全身麻酔が必要です)。だいたい3週間ほどでギブスが必要なくなり、1ヶ月ほどで抜ピンします。

2011年10月5日水曜日

超小型犬の橈尺骨骨折


 超小型犬の増加に伴い橈骨尺骨の整復手術の割合が骨折手術の中でも多くなっています。橈骨の整復には骨プレート、ピンニングが一般的だと思います。創外固定を行う先生もいます。 超小型犬における橈尺骨骨折では、骨癒合不全が多いことは周知の事実です。1)解剖学的に完全な整復、2)軟部組織の損傷を極力避けたアプローチ(血行の維持)と3)強力な内固定、4)早期の運動機能の回復が癒合不全を避けるポイントとなります (AO/ASIFの4原則)。ピンニング・創外固定ともに手術後の管理が大変なため、この部位の骨折は骨プレートにて固定しています。
 ポメラニアン、2.5ヶ月令、1.8kg。橈尺骨遠位1/3の横骨折。SYNTHES社製ミニDCPプレート2.0(幅5.0mm,厚1.2mm,6穴)を使用し∅1.5mmのスクリュウにて強力に固定しました。術後にギブスを巻く必要もなく、包帯交換も必要ありません。数日間のケージレストによる運動制限は必要ですが、手術の翌日からトイレ程度の短い散歩も可能です。ヒトでは考えられませんが、ほとんどの症例で手術後3日もすれば、ほぼ正常歩行が可能になります。成長期の骨折は約1ヶ月ほどで骨癒合が期待できます。