2011年6月16日木曜日

難治性角膜潰瘍


 犬の角膜潰瘍はほとんどのケースで外傷が関係しています。なりやすい素因として睫毛の異常やドライアイ、眼瞼が上手く閉じられない兎眼(眼の大きい短頭種にみられます)があります。角膜の上皮は再生が大変早く、普通は1週間以内に完全に修復されます。異所性睫毛など基礎となる外傷の原因が継続して起こっている場合や感染が残っている場合には治療して1週間経過しても治らない場合があります。また ボクサー潰瘍や再発性潰瘍、難治性潰瘍などと言われる基底膜の問題が存在している場合もあります。柴犬、プードル、コーギー、ゴールデン・レトリバーなどが好発犬種と言われています。キャバリアやチワワでも経験しています。
 写真はチワワでした。治療を開始して2週間経過しても最初の状態から比べると傷は縮小はしていましたが、点状に残っていました。血管新生もなく角膜の浮腫も見られず、治癒過程が終了してしまっているようでした。点眼によるこれ以上の改善は困難と判断し、全身麻酔下にて滅菌綿棒でデブリードを行いました。すると角膜上皮がベローンと剥がれていき、思った以上に大きな傷になりました(フローレスにて染色しています)。
 マイジェクターに少し細工をし、角膜格子状切開を行い、第3眼瞼フラップにて眼球を保護しました。1週間後の再検査時にフラップを除去し、完全に治癒しているのを確認しました。この手技は猫では禁忌となります。

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